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映画「妻たちの落とし前」感想ネタバレ:未亡人たちの復讐劇がいまのアメリカ社会を風刺する!

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©20th Century Fox

こんちくわ!Shygonです!

今回は注目のクライムスリラー映画

妻たちの落とし前 (Widows)

について熱く語りたいと思います。

2018年秋に公開された本作は黒人監督初アカデミー作品賞に選ばれた「それでも夜は明ける」のスティーブ・マックイーン監督の最新作です。

 

あらすじ

アメリカのシカゴに住む黒人女性のヴェロニカは夫ハリーと高層マンションに住み裕福な生活をしていた。

しかし、ある日夫が強盗犯だと知らされ、仕事中に殺されてしまう。

唯一の生きる希望を失い、寂しさだけが残る中、黒ずくめの男が自宅に押しかける。

夫が強盗したお金の持ち主で裏の世界で暗躍していた組織のボスだったのであった。

その額なんと2万ドル。

期限は1ヶ月。時間がない中、生前夫と仕事をしていて、共に死んだ仲間の妻たちに連絡をとり、夫が残した次の山を自分たちでやることを決断する。夫を失ったWIDOWS(未亡人)の妻たちがいま団結する。

 

マクイーン軍団

 監督と脚本

監督と脚本はスティーブ・マクイーンが務めました。

彼は2011年公開のセックス依存症を描いた「シェイム」が世界中の映画祭で評価されると3作目「それでも夜は明ける」で黒人監督初のアカデミー作品賞受賞という偉業を成し遂げました。

 

そんな彼と共同で脚本を務めたのがあの狂気に満ちた映画「ゴーン・ガール」を執筆した女性脚本家のギリアン・フィンです。

全員が主演級の大物たちで4人の女性が主人公として描かれる本作は豪華な顔ぶれです。その他の顔ぶれは全員が主演級の大物俳優が脇に揃えます。

 Widows

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©20th Century Fox

ヴィオラデイビス もう彼女を凌ぐ黒人女優はいません。

アカデミー賞でもノミネート常連の生きる伝説。

本作では主人公ヴェロニカを演じ、彼女の臨場感溢れる緊張感を演じるのはもはや天才以外の言葉でません。

 

他にもめちゃくちゃ綺麗なエリザベス・デビッキ、ワイスピシリーズのレティでおなじみのミシェル・ロドリゲス、いま大注目で「bad times at el royale」などに出演した黒人女優シンシア・エリヴォがwidowsのメンバーとして活躍します。

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 政治家

シカゴの政治家をコリン・ファレルが演じ、癇癪持ちの父親を名優ロバート・デュバルが演じました。

彼は「ゴッドファーザー」、「地獄の黙示録」、「アラバマ物語」などもうハリウッドを代表するひとりです。

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 裏の犯罪組織

組織のボスをブライアン・ティリー・ヘンリーが演じました。注目株の彼は2019年のアカデミー賞最有力候補の「if Beatles street could talk」にも出演してます。

そして、彼の右腕として働く弟のjatemmeはダニエル・カルーヤが演じました。「ブラックパンサー」や「ゲットアウト」で知られる彼は若手黒人俳優を代表する人物ですね。

さらにヴェロニカの夫で強盗中に亡くなったハリーを名優リーアム・ニーソンが演じました。

 

黒人として女性として生きること

 黒人として生きるということ。

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©Vogue

作は未亡人になった妻たちが復讐を込めて強盗をするクライムサスペンスです。

自分たちの夫たちが殺された生きる意味を見出せない者たちが一致団結し、再び生きようと覚悟する力強い映画なのです。

 

他のクライムサスペンスとは違い、華のあるアクションシーンやカッコいい画など皆無といったほどありません。

それは本作はクライムサスペンスという枠組を超えて訴えたい何かがあるからです。

 

ティーブ・マクイーン監督の「それでも夜は明ける」を鑑賞した方はもうお分かりだと思いますが、彼は黒人の権利向上ということを常に映画を通して訴えています。

前作では不当に12年間奴隷にされた黒人が生き別れた愛する妻のため子供ために必死に生きる様を描き、全世界に共感を呼びました。

そして、本作でも同じことを扱っています。黒人の命が不当に扱われているアメリカに風刺を込めたシーンが多々ありました。

 

例えば、本編で黒人の若い男性が運転中、警察にいきなり止められます。

警察は銃を向け車から出るように指示します。それに従おうとした矢先に、無実の若い黒人は撃ち殺されます。

警察はその黒人が銃を取り出そうとしたと思い撃ったのですが、この事件に似た事件が全米で起きており、社会問題に発展しているのです。

結局裁判しても黒人だからという理由だけで無罪なったりと黒人の権利というものが妨げられている現実に対する風刺を込めた描写シーンになります。

黒人の監督自身が映画を通して変えていこうとする意思が感じられるのです。

 

 女性として生きるということ。

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©20th Century Fox

ハリウッドでは有名プロデューサーのセクハラを受け、女性の権利というものが考え直されるようになり、女性を鼓舞する映画が最近では多くみられるようになりました。

ヒーロー映画初の女性監督作品「ワンダーウーマン」や大人気シリーズを女性キャストでリブートした「オーシャンズ8」など大作をも女性を主人公するようにいま変換期に差し掛かっているのです。

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そして、脚本に女性脚本家のギリアン・フィンと共同で執筆したのはそのような目的が考えられます。

ゴーン・ガールでは失踪していたと思われていた妻は実は生きており、夫の浮気への復讐を果たす狂気に満ちた強い女性を描きました。

本作でも力強い女性たちの勇敢な姿が描かれて、最後に曇天返しがある内容の濃い映画に出来上がっていました。

 

つまり本作では黒人の権利が不当に扱われるアメリカを舞台に監督自身が映画を通じて訴え続けている黒人の権利の向上、そして女性の地位向上の両方を扱いクライムサスペンス映画というだけではなく、

権利向上のために立場の弱い者たちが立ち上がる映画なのです。

最近では黒人や女性など立場の弱い者たちが映画を通じて権利の向上を訴える内容の映画が非常に多く製作されていますが、本作もその一本のひとつです。

 

まさにいま旬な内容の本作

ここ数年アカデミー賞では立場の弱い者たちを賞賛映画が多くアカデミー賞に絡み、受賞を果たしています。

2017年に作品賞受賞した「ムーンライト」は内気なゲイの少年が自らの性に悩む姿を描きました。

2018年作品賞受賞の「シェイプ・オブ・ウォーター」は怪獣と聴覚障がいの中年女性の恋愛映画です。

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 そして、2019年アカデミー賞最有力の本作も立場の弱い黒人と女性を鼓舞する映画になっており、過去2年間みても本作が受賞する可能性は十分あり得るということです。

まぁ、まだ全部有力作品を見たわけではないので、わかりませんが、今年は競合が本当に強いのでこれから楽しみですね。

 

ネタバレについて

これからはネタバレが含まれます。

本作も「ゴーン・ガール」のように曇天返し映画です。強盗に失敗し、チーム全員が死亡しその復讐のために妻たちが立ち上がり、強盗をし直し、人生やり直すというのが大まかなプロットです。

 

しかし、実際には盗んだお金にはマフィアが絡んでいて、金を返せと死んだ夫が絡んだ事件に何も知らない妻が脅されてしまいます。

他の妻たちも自分が経営していたお店が不本意な形で取り上げられるなど、生活が一変し、失った人生を取り戻すという枠組みでこの計画が練られます。

 

政治家グループは資金洗浄のために裏でマフィアと通じており、そのマフィアのお金を夫グループが盗んでしまうという構図視した。

でも、実際は政治グループがヴェロニカの夫ハリーにマフィアのグループのお金を取るように目論んだ計画であり、ハリーは自分以外の仲間を殺して、生きていたのでした。

 

そんなことを知らない残された妻たちは見事強盗に成功するのですが、ヴェロニカはハリーを鉢合わせをしてしまいます。

愛してした夫は自分を裏切り、妻グループのひとりの家で隠れており、不倫関係だったのです。

そんな信じたくない事実と、死んだはずの人間が目の前に立っているという現状は何とも残酷です。

 

結局決心したヴェロニカは最愛の夫ハリーをこの手で射殺し、人生を一からやり直すことを決断しました。

本編は冒頭シーンで夫グループの犯行が失敗に終わり、妻たちは何もかも失った状況から始まります。

 

本編中にも夫が生きていたことの潤風満帆な生活や息子を失った悲しみから夫婦共々協力して立ち直る姿がフラッシュバックされて描かれますが、そんな幸せそうな状況が一気に無意味になるのです。

それは夫ハリーの裏切りからですが、同時に黒人の権利が不当に扱われていることや女性の権利の向上を静かに訴えているのです。

 

こんな旬の映画なのに日本では2019年4月でアカデミー賞後の公開なので随分先です。邦題も既に決定しており、まあ普通にダサいなぁと思ってしまいますが、いつものことなのでしょうがないですね。 

びぇ!

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