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アメリカ在住大学生が映画について熱く語っているブログ

映画 「アリー スターの誕生」 感想ネタバレ:スターを夢みる少女と落ちぶれたスターの恋愛がただただ美しい

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©2018 IMDb

こんちくわ!Shygonです!

今回は歌手のレディー・ガガがヒロインを務め、大人気俳優ブラットリー・クーパーが監督兼俳優を務めた

アリー スターの誕生

を熱く語りたいと思います。

 2018年冬に公開された本作は3度目のリメイクで、俳優ブラットリー・クーパーが初監督も務めた意欲的な作品であり、本編で使われた楽曲は全てレディーガガが共同で手掛けたこともあり、注目を浴びました。

すでに名声を得ていた歌手の男と音楽の世界で活躍することを夢見る若い女性のラブストーリー。次第に薬物に溺れていくスターと徐々に注目を浴びてゆき、スターの階段を上り詰める女性が対照的に描かれます。

第91回アカデミー賞では、レディーガガが歌曲賞を受賞。

 

あらすじ(ざっくりした物語-前半)

カントリーの世界ですでに名声を得ていたジャクソン・メインはツアーの終わりのふとした瞬間に近くのバーに入る。賑やかに盛り上がるゲイストリップの店内でただ1人でお酒を嗜む彼はある1人の女性アリーが歌う曲に見とれて、星空が広がる真夜中に彼女を連れ出すのであった。

彼女は過去のトラウマなどから自分で作曲した曲が歌えないことで悩んでいたのであった。しかし、彼女の才能に見とれたジャクソンは無名の彼女を自分のツアーに連れ出すことにした。

そこから2人は恋仲関係になり、ツアーを一緒に回りながら幸せなひと時を過ごしていたのであった。だが、徐々に彼女が有名になりだすと、思わぬ拍車がかかり事態は急変してゆくのであった…

「アリー  スターの誕生」の製作背景 

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©2018 Variety

個性的な歌詞に、独特なファッションスタイルを貫き、常に世界中を牽引し続けているレディ・ガガを、歌手を夢見る女性ヒロインに迎え、大人気俳優ブラットリー・クーパーがスター歌手と監督を兼用で務めた意欲作です。 

 ビヨンセとクリントで製作される予定だった!?

2011年頃にビヨンセ主演のクリント・イーストウッド監督で製作される予定でしたが、製作上のトラブルで実現にはいたらず、レディー・ガガをヒロインに迎えての製作となりました。 

 徹底した役作りと背景

本作を製作するにあたり、クーパーはカントリーシンガーのエディ・ヴェダーの声と質を研究し、実際に会い、自ら演奏するという徹底的な役作りに挑みました。

レディ・ガガは売れる前にストリップクラブで働いて生計を立てていたのですが、その経験がそのまま本編では描かれています。 

 数多くのカメオ出演

実際に様々なセレブリティがカメオ出演しており、司会者のデイブ・シャペル、俳優のアレック・ボールドウィン、歌手のホールジーなど様々な有名人が出演していました。

 愛犬

本編で2人の愛犬が登場しますが、その犬は実際にブラットリー・クーパーが飼っている犬で、名前のチャーリーはクーパーの実父親の名前だそうです。 

「アリー スターの誕生」がただの恋愛映画とは一味違う理由

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©2018 Arts Knoxville

「すでにスターの名声を入れたスターと歌手を夢みる若い女性の恋愛映画」というシンプルなあらすじを聞くとあまりピンときません。そのような映画設定は他にも山ほどあり、本作も同名映画の3度目のリメイクなので、新鮮味が全くないのです。

しかし、本作で描かれ、起きていることはただの恋愛映画の枠に収まらず、いまの現代だからこそ多くの人に支持されるべき作品の一作であることは間違いありません。

 役者の実体験を基に描かれる描写

今でこそ世界的に有名なレディーガガですが、彼女には辛い下積み生活があったのです。ときには生活のためにストリップクラブで働いていたこともあると告白していますが、本編では歌手を夢みるアリーが生活のためにゲイストリップクラブで働いているシーンの描写があるのです。まさにレディー・ガガが若い頃に体験した実話を本編では再現しているのです。

そして、すでに名声を手に入れたブラットリー・クーパー演じるジャクソンは薬物依存で、それが理由に彼はどんどん地に堕ちてゆくのです。それは昔クーパー自身も実生活で依存症から抜け出せない時期があり、彼の実話が同じく描かれていることになります。

本作では描かれていませんが、レディー・ガガも歌手を目指す前に薬物の依存症になっていた時期があります。クーパー演じるジャクソンの依存症を直すため懸命的に支える女性としてたくましい姿が垣間見れますが、その体験こそもレディー・ガガ自身の依存症から抜け出した経験が生かされているのです。

脚本がなんて素晴らしいのであろうか

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©2018 Fandango

ここからはネタバレが含まれます。スターが薬物依存で地にみるみる堕ちてゆくのに対し、次々と成功を手にしてゆく女性を対照的に描いた本作は、いまのアメリカを投影させる社会的問題が次々に赤裸々に描かれてゆくのです。 

あらすじ(ざっくりした物語-後半)

ツアーにアリーを一緒に同行させて幸せな時間を過ごす2人でしたが、そんな時間は長くは続かないのです。アリーの才能に確信した音楽プロデューサーはアリーをデビューさせようとします。あまりよく思わないジャクソンは腹を立てますが、アリーはみるみるスターへの階段を登っていくのです。

ついに急激に人気になったアリーはグラミー賞の新人賞にノミネートされたのでした。彼女が急激に有名になってゆく中でジャクソンの薬物に対する依存症は酷くなる一方でした。

そして彼女の晴れ舞台グラミー賞の授賞式に事件は起こるのです。見事新人賞を受賞したアリーのスピーチ中、完全にイかれたジャクソンは彼女のスピーチの際に邪魔するのです。現実にもこんなことが起こりましたが(笑)そんなことが彼女の晴れ舞台で起こります。

その結果ジャクソンは薬物依存の克服のため入院することになったのです。徐々に回復の兆しが見えてきたジャクソンは今までの自分の行いに反省する日々が続きました。退院をしても力強く献身的に支えるアリーと仲が戻ってゆく中、音楽プロデューサーのラズはアリーのヨーロッパツアーを控える中、それをキャンセルしてまでジャクソンの手助けをすると言い出したのです。アリーは決して自分の活動ジャクソンによって妨げられていると言わないためラズがジャクソンを説得したのです。そして、ジャクソンはある行動に出るのです。

生涯孤独であり続けた天才シンガーの儚い人生

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©2018 Exclusive Entertainment

 兄弟の絆を描く映画

唯一のお兄さんでさえも自分が依存症のため一度は見捨てられるも、アリーのようにジャクソンを支え続けたのです。この映画は孤高の天才歌手と歌手を夢見る少女の恋愛映画ですが、「兄弟の絆の話」でもあるのです。

ジャクソンが退院後迎えにきたお兄さんは腹を割ってジャクソンと話をするのでした。お兄さんは早く家を出たのです。歌手を目指すも諦め、その夢を弟のジャクソンが継ぎ、実現させるのでした。

ジャクソンのお兄さんは家をすぐに出て悪い環境から身を引いたのですが、ジャクソンは距離を置くことができず、依存症であった父親を追うかのようにジャクソンは自ら依存症に陥ってしまうのです。結局父親も生涯通じて依存症から脱出することができなかったのです。

ジャクソンは父親を愛し、お兄さんを毛嫌いしていたのです。そして、お兄さんは依存症であった父親のもとを早く出て、同じく依存症に陥ったジャクソンとも距離を置いていました。

しかし、真実は真逆でした。ジャクソンは父親のことを嫌い、献身的に影で支えるお兄さんを心から尊敬していたのです。ですがこれが兄弟間での最後に会話になることはまだここでは知る由もありませんでした。

 

 たとえキャリアに傷がついても支え続けるアリー

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©2018 British Exiaminer

このままアリーがジャクソンのそばにいると自分のキャリアに傷がつくと感じたラズはジャクソンにこんなことを言います。

「たとえ依存症が治っても、これからまた再発するし、依存症の人は一生それから向け出せない。アリーは何も言わないけど、このままヨーロッパツアーをキャンセルすると彼女自身のキャリアに傷がつくぞ。」

このラズのきつい言葉はジャクソンの胸にものすごく刺さるのでした。自分がまるで父親と同じ末路を辿っているように感じたからです。依存症を必死で治し、また再出発してアリーと幸せになれると信じていたジャクソンのは失意の底に落とされるのでした。

 

「アリー スターの誕生」をどう分析するか

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©2018 Astarisbornmovie

 コメディ要素をたっぷり含む

主人公だけではく、監督と脚本にも参加したブラットリー・クーパーの描き方にはみるものを惹きつけるインパクトがあります。そして、アメリカ映画の特徴とも言えようコメディ要素もたっぷり描かれ、映画の本編中に常に笑いが途絶えない状態でした。

伝説とも言えるべき本作のリメイクでは珍しい笑い要素をふんだんに盛り込んだ本作は笑いとアメリカの現状ともべき言える重い問題が同時に描かれるのです。

 対照的な人間を比較して捉える

他にも本作の特徴は比較です。本作の醍醐味であるスターとスターを夢みる女性を対照的に描いています。「比較」はこれだけではありません。本編では兄弟の過去の話も描かれますが、多少的だった兄弟仲も対照的に描かれすのです。

歌手を夢みる少女と天才歌手、そして依存症であった父親の影響で対照的な人生を送る兄弟間の比較が非常に巧妙に描かれています。

なぜ本作は今のアメリカを現状を投影しているのか

一度依存症に陥るも周りの献身的な支えのおかげでジャクソンは復活し、アリーと再びよりを戻し、2人は一緒にステージに立ち続けるのです。というようなハッピーエンディングにはなかったのです。

音楽プロデューサーのラズに現実を見せられたジャクソンは最後にドラッグを口に加え、自宅のガレージで孤独に死んでいくのです。まるでステージの上で輝き続けるジャクソン・メインにように、父親の後を追っていきます。 

依存症が深刻な社会問題化するアメリカ

ここ数年若者を筆頭に多くの人々がドラックの依存症で命を落とします。主にザナックスと呼ばれる精神安定剤の過剰摂取で2018年にはラッパーのlil peepやMac Millerなど多くの著名人が命を落としているのです。

そんな社会問題に発展している依存症を題材にスターの失墜を非常に感情的に描いている本作はただの個人の関係を描く恋愛映画とは一味違うのです。数多くのチャリティー活動を行うレディー・ガガはゲイのストリップクラブでのシーンを加えるなど彼女が感じることも本作では描かれます。LGBTのようなマイノリティーのコミュニティーのシンボルとして描かれるガガ自身の思いが詰まっているのです。

賞レースを牽引するとして期待され、映画サイトIMDbでは公開一週間の間で脅威の8.6/10を記録するなどアカデミー賞で期待される一作品です。歌曲賞や作曲賞は必ずノミネートされるだろうし、演技賞も受賞は可能性的には低いのではないかと予想していますが、レディー・ガガとブラットリー・クーパーはもちろん、僕個人的にはお兄さんを演じたサム・ライオットが評価されるのではないかと思います。まだ賞レースは始まったばかりなので他の強豪が公開されるまではっきりとはわかりません。

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びぇ!